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匿名アカウントでも特定されます。SNSの悪口が招くリスクとその仕組み

匿名アカウントでも特定されます。SNSの悪口が招くリスクとその仕組み

このアカウント、本名も出していないし、誰が書いたかなんてわからないだろう

匿名のアカウントを使っていると、そんな気持ちになることはありませんか。職場の同僚のこと、お客さんのこと、取引先のこと。ちょっとした愚痴のつもりで書いてしまう。

でも、匿名だから絶対に特定されない、という前提はもう成り立ちません。ここは仕組みを知っておくと、判断が変わってくるところです。

目次

誹謗中傷の相談は、高い水準が続いています

まず、いまどれくらい問題になっているかを見ておきましょう。

総務省が運営する「違法・有害情報相談センター」に寄せられた相談件数は、令和6年度で6,403件でした。ここ数年、6,000件を超える水準が続いています。

つまり、書き込まれた側が「どうにかしたい」と動くケースは、決して珍しくないということですね。

匿名の投稿者が特定されるまでの、3ステップ

書き込まれた側が投稿者を特定したいとき、発信者情報開示請求という手続きを使います。流れをざっくり見てみましょう。

【1】SNSの運営会社に開示を求める

まず、投稿されたSNSの運営会社に対して、投稿時のIPアドレスなどの開示を求めます。IPアドレスとは、インターネットにつないだ機器に割り当てられる、住所のような番号のことです。スマホでもパソコンでも、必ず割り当てられています。

【2】IPアドレスからプロバイダを調べる

そのIPアドレスから、投稿者が契約している通信事業者(プロバイダ)がわかります。

【3】プロバイダに開示を求める

今度はプロバイダに対して、契約者の氏名・住所などの開示を求めます。ここで、投稿者が誰なのかが判明します。

かつてより、手続きは進みやすくなっています

以前は、①と③でそれぞれ別に裁判の手続きが必要で、時間も費用もかかっていました。

これが2021年の法改正で見直され、2022年10月1日から「発信者情報開示命令」という制度が始まっています。ひとつの手続きで開示までを進められるようになり、期間の短縮が期待されています。

なお、この法律は2025年4月1日から「情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)」という名称に変わっています。旧名称の「プロバイダ責任制限法」で覚えている方も多いと思いますが、いまはこちらが正式な呼び方です。大規模なSNS事業者に対して、削除申出への対応の迅速化と、運用状況の透明化が義務づけられました。

ただし「誰でもすぐ特定できる」わけではありません

ここは正確にお伝えしておきます。

開示が認められるには、権利の侵害が明らかであることなど、いくつかの要件を満たす必要があります。裁判所の判断を経る手続きなので、気に入らない投稿を見つけたら誰でもすぐ相手の名前がわかる、というものではありません。発信者のプライバシーや通信の秘密にも関わるためです。

裏を返せば、明らかに誰かを傷つける書き込みであれば、特定に進む道は開かれているということです。「匿名だから何を書いても平気」という前提は、やはり成り立たないんですね。

特定されたあとに起こること

投稿者が判明すると、そこから先はこうなります。

  1. 損害賠償を求める民事裁判を起こされる
  2. 裁判の前に、示談(話し合いでの解決)を求められる
  3. 内容によっては、名誉毀損罪や侮辱罪として刑事の問題になる
  4. 勤務先に知られ、社内処分につながる可能性がある

同僚やお客さん、取引先の悪口の場合は、法的な話に加えて就業規則違反にもなり得ます。会社の信用に関わる書き込みは、そこも見られます。

そして大事なのが、投稿を消しても責任がなくなるわけではないという点です。スクリーンショットが残っていれば証拠になりますし、削除したこと自体は責任を打ち消しません。

「書いた」だけが対象ではありません

自分で文章を書いていなくても、油断はできません。

誰かを中傷する投稿をリポスト(拡散)した行為について、賠償が命じられた例は複数あります。「いいね」を押した行為が違法と判断された裁判例もあります。

反応するだけなら関係ない、とは言えないんですね。この点は別記事で詳しく書いていますので、あわせて読んでみてください。

いちばん確実な対策

仕組みの話をしてきましたが、結論はとてもシンプルです。

特定の誰かを悪く言う投稿は、匿名だろうが実名だろうが書かない。 これだけです。

愚痴を吐き出したい気持ちは、誰にでもあります。ただ、書く場所は選べます。自分だけのメモ帳に書く、信頼できる人に直接聞いてもらう。SNSに公開する必要は、実はほとんどありません。

逆に、SNSで悪口を書かれてしまったときは

自分が被害を受けた側になったときの窓口も知っておくと安心です。

  • 違法・有害情報相談センター(総務省の事業)
    削除依頼や開示請求の方法について、無料で相談できます
  • 法務省の人権相談窓口
    インターネットや電話、LINEからも相談できます
  • 警察相談専用電話「#9110」
    脅迫やつきまといなど、身の危険を感じる場合に

プロバイダに残る通信記録には保存期間があるため、早めに動くほど対応の幅が広がります。ひとりで抱え込まないでくださいね。

よくある疑問

海外のSNSでも、特定できるのでしょうか?

海外の事業者に対しても、日本の裁判所に開示命令を申し立てられる仕組みが整えられています。国内サービスより手続きに時間がかかることはありますが、「海外だから届かない」とは言えません。

会社名を出さずに愚痴を書くなら大丈夫ですか?

投稿内容や過去の書き込みから、勤務先が推測できてしまうことは珍しくありません。プロフィールや別の投稿と組み合わせれば、意外と絞り込めるものです。安全とは言いにくいですね。

さいごに

匿名という言葉には、なんとなく守られている感じがあります。でも実際には、必要な手続きを踏めば、たどれるようになっているというのが今の状況です。

とはいえ、これは怖がらせたい話ではありません。誰かを傷つける投稿さえしなければ、まったく心配いらないことでもあります。書き込む前に「これ、実名でも書けるかな」と一度だけ考えてみる。たったこれだけで、防げるトラブルはかなり多いですよ。

匿名アカウントでも特定されます。SNSの悪口が招くリスクとその仕組み

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