SNSを開くと、好きな話題や、なんとなく気の合う人の投稿が並んでいる。見ていて心地いいですし、時間もあっという間に過ぎますよね。
でも、その「自分好みのタイムライン」は、たまたまそうなったわけではありません。ちょっと立ち止まって、自分が普段どんな情報を見ているのか、考えてみましょう。
フィルターバブルとは「自分好みの泡」に包まれた状態
フィルターバブルとは、自分の好きなものや見たいもの以外が、知らないうちにはじかれてしまう現象のことです。まるで自分の好みでできた泡(バブル)の中にいるような状態、というイメージですね。
SNSにはパーソナライズという仕組みがあります。これは、その人に合わせて表示内容を調整することです。
誰をフォローしているか、どんな投稿に「いいね」を押しているか、どの投稿を長く見ていたか。そうした情報をもとに、アルゴリズム(表示する内容や順番を決める仕組み)が「この人はこれが好きだろう」と判断して、画面に流す内容を選んでいます。
なぜSNSはこういう仕組みになっているのか
たとえば、野球のアカウントをたくさんフォローしている人がいるとします。その人には野球の投稿がたくさん表示されるようになります。逆に、まったく興味のないバスケットボールの情報ばかり出てきたら、「自分が見たい情報がないな」と感じて、SNSを開かなくなってしまいますよね。
だからプラットフォーム側は、その人が好きなもの、見たいものが多く表示されるように調整しているわけです。意地悪をしているわけではなく、使いやすくするための仕組みなんですね。
ただ、その結果として、自分が普段スルーしているテーマの投稿は、そもそも画面に出てこなくなります。「見ていない」のではなく、「表示されていない」という状態です。
問題は「見えているものが全部」だと思ってしまうこと
好きな料理しか出てこないレストランに通い続けると、最初は最高ですが、そのうちメニューに他の料理があること自体を忘れてしまいます。
つまりSNSではどういうことかというと、自分の画面に流れてくる意見が、世の中の平均的な意見だと錯覚してしまうということです。
これは、野球のような趣味の話だけではありません。政治、宗教、健康やスピリチュアルに関する話題など、意見が分かれやすいテーマでも同じことが起こります。同じ考えの投稿ばかりを見ていると、「みんなそう思っている」「これが常識だ」と感じやすくなります。
その状態で誰かの投稿を見ると、違う意見が極端なものに見えたり、つい強い言葉で反論したくなったりします。デマ(事実ではない情報)を、確かめないまま広げてしまうきっかけにもなります。
ちなみにこれは、SNSに限った話ではありません。検索エンジンの結果にも、同じような調整がはたらいています。
泡をゆるめる、4つの小さな工夫
完全に防ぐのは、正直なところ現実的ではありません。それでも、少し意識するだけで変わります。
- 意見や好みが違うアカウントも、少しだけフォローしてみる
自分が強く同意できない立場の発信も、たまに目に入る状態にしておくと、視野が保ちやすくなります - 大事な情報は、SNSの外でも確かめる
特にお金や健康、災害などに関わる話は、官公庁や公的機関の発表など、大もとの情報にあたってみると安心です - 「なぜこれが自分に表示されたんだろう?」と一度考えてみる
流れてきたから正しい、話題だから多数派、とは限りません - 拡散する前に、反対の情報をひとつだけ探す
検索して何も出てこなければ、そのまま拡散しない、という判断もできます
よくある疑問
さいごに
泡の中にいること自体は、悪いことではありません。快適に使えるのは、この仕組みのおかげでもあります。
大事なのは、泡の外にも世界があると知っておくこと。ときどき「自分の見ている景色、ちょっと偏ってないかな」と振り返るだけで、判断はずいぶん落ち着いてきます。たったこれだけで防げるすれ違いは、けっこう多いですよ。



