地震や台風のとき、まずスマホでSNSを開く。そんな方は多いと思います。
テレビより早く、現場の様子がわかる。近所の情報も流れてくる。実際、SNSは災害時にとても役立つ道具です。
ただ、こういうときこそ事実ではない情報(デマ)も一緒に流れてきます。しかも急いでいるとき、不安なときほど、見分けるのが難しくなります。ここでは、落ち着いて確認するためのポイントを一緒に見ていきましょう。
まずは、クイズです
こんな投稿がタイムラインに流れてきたとします。
信じていい投稿でしょうか。少し考えてみてください。
答えは、信じてはいけない投稿です。おかしなところが、はっきり出ています。
要注意な投稿の、4つのサイン
【1】内容と関係のないハッシュタグがついている
川の氾濫の話なのに、サッカー選手やクラブ名のタグがついている。これは明らかに不自然ですよね。
なぜこんなことをするかというと、関係のないタグをつけて、より多くの人に見てもらうためです。閲覧数が伸びると収益につながる仕組みがあるため、災害のたびにこうした投稿が現れます。内容そのものより、注目を集めることが目的なんですね。
【2】画像の日付が合っていない
これが決定的でした。2024年の災害として投稿されているのに、載っている画像には2019年10月の日付が入っていた。過去の別の災害の写真を使い回している、ということです。
画像に日付が写り込んでいたら、必ず確認してみてください。
【3】内容と関係のない短い動画がついている
数秒だけの、状況とかみ合わない動画。再生しなくても、「なんだか変だな」という違和感は持てるはずです。
【4】発信元がよくわからない
「知り合いから聞いた」「友人の友人が現地にいる」といった伝聞だけの情報も、注意が必要です。悪気がなくても、伝わる途中で内容が変わっていることがあります。
逆に、信用できそうな投稿の特徴
もうひとつ、比べてみましょう。同じ災害について、こんな投稿があったとします。
こちらは信じて大丈夫と考えられる投稿です。理由はこうです。
- 公式アカウントからの発信である(気象や防災を専門にしている事業者)
- 認証マークがついている(企業として認証されていることを示すもの)
- 画像の時刻と投稿時刻に、大きなズレがない
- 詳しい情報の参照元リンクが示されている
ただし、ここには注意点が2つあります。
ひとつは、認証マークは万能ではないということです。個人アカウントの場合、費用を払えば比較的簡単につけられます。マークがあるから正しい、とは限りません。企業の認証は費用も手続きも大きいため、そこまでして偽情報を流す可能性は低い、という程度の目安と考えてください。
もうひとつは、リンクが貼ってあるから信用できる、ではないということです。悪意のあるページへ誘導するリンクという可能性もあります。「リンクの有無」ではなく、「リンク先の中身」を見る必要があります。
最後は、SNSの外で確かめる
いちばん確実なのは、SNS以外で裏を取ることです。
災害情報であれば、気象庁、お住まいの自治体、警察や消防などの公式サイトを見に行けば、同じ内容が出ているかどうかを確認できます。SNS内で「本当ですか?」と探し回るより、ずっと早くて確実です。
こうした、大もとの発表を一次情報と呼びます。迷ったら一次情報に戻る。これだけ覚えておけば、たいていのデマは避けられます。
拡散した側も、無関係ではいられません
ここは、ぜひ知っておいてほしいところです。
2016年の熊本地震のとき、「動物園からライオンが逃げた」という事実ではない投稿が広く拡散されました。動物園には100件を超える問い合わせが殺到し、本来の点検や安全確認に支障が出ています。投稿した人は後に偽計業務妨害の疑いで逮捕されました(その後、不起訴=起訴猶予処分となっています)。
偽計業務妨害とは、うその情報を広めるなどして、他人の仕事を妨げることをいいます。冗談のつもりでも、現実の混乱を招けば問題になり得るわけですね。
そしてもうひとつ大事なのは、こうした情報を広げているのが、悪意のある人だけではないということです。「みんなに知らせなきゃ」という善意から、確認しないまま拡散してしまうケースがとても多いんです。
災害に便乗して、支援を装って送金させようとする手口も報告されています。急いでいるときほど、一度止まる意味があります。
拡散する前の、3ステップ
- 発信元は誰か(公式か、個人か、伝聞か)
- 日付は合っているか(画像や動画の日付、投稿時刻)
- 公式情報で同じことが言われているか(気象庁、自治体などを確認)
この3つを確認して、確信が持てなければ拡散しない。それが、いちばん安全な判断です。何もしないことは、無責任ではありません。
画像そのものが怪しいときは、その画像をインターネットで画像検索してみると、過去の別の場面で使われていたことがわかる場合があります。最近は生成AIで作られた画像も出回っているので、リアルに見えることと本物であることは別、と考えておくのが安心です。
平時にやっておきたい、ひとつの備え
災害が起きてから信頼できる情報源を探すのは、正直かなり大変です。
だからこそ、落ち着いているうちに公式アカウントをフォローしておくのがおすすめです。気象庁、お住まいの自治体、警察や消防、信頼できる気象情報会社。これだけでも、いざというときの安心感がまったく違います。
よくある疑問
さいごに
災害のときにSNSを見るのは、決して悪いことではありません。早く、細かい情報が手に入る、大切な手段です。
大事なのは、シェアボタンを押す前に一呼吸おくこと。発信元と日付を見る、公式情報で確かめる。たったこれだけで、混乱を広げる側ではなく、防ぐ側でいられます。難しく考えず、次に何かが起きたときに思い出してもらえたら十分です。



